「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」とは、職業経験の不足など就職が困難な求職者を、無期雇用契約へ移行する事を前提として、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対して助成をする制度です。
この助成によって、求職者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図る事を目的としています。
今回は、そんな「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」について詳しく解説していきたいと思います。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の対象者
それではまず、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の対象者を見ていきましょう。
対象者は、下記のずれにも該当する者である事が条件となります。
- 安定所・地方運輸局または職業紹介事業者等に求職申し込みをしている者である事。
- 常用雇用による雇入れを希望している者であって、トライアル雇用制度を理解した上で、トライアル雇用による雇入れについても希望している者である事。
- 安定所・紹介事業者等の職業紹介の日において、次のいずれにも該当しない者である事。
- 安定した職業に就いている者
- 自ら事業を営んでいる者または役員に就いている者であって、1週間当たりの実働時間が30時間以上の者
- 学校教育法第1条に規定する学校、同法第124条に規定する専修学校、職業能力開発促進法第15条の7第1項各号に掲げる施設または、同法第27条第1項に規定する職業能力開発総合大学校に在籍している者。
- トライアル雇用期間中のトライアル雇用労働者および、新型コロナウイルス感染症対応トライアルコースまたは、新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースにおけるトライアル雇用労働者
- ニ:次のいずれかに該当する者である事。
- 紹介日前2年以内に、2回以上離職または転職を繰り返している者
- 紹介日前において離職している期間が1年を超えている者
- 妊娠・出産または育児を理由として離職した者であって、紹介日前において安定した職業に就いていない期間が1年を超えている者
- 紹介日において、満55歳未満かつ安定した職業に就いていない者であって、安定所・紹介事業者等においてaおよびbのいずれにも該当する支援を受けている者
- a:職業紹介窓口や就職氷河期世代専門窓口等において、より就職困難性が高いと認められる者に対し行われる支援であって、支援開始から支援終了まで1人または複数人の担当者が行う個別支援である事
- b:次の(a)から(h)のいずれかの支援を受けている事
- (a):就職の不安に対する相談対応
- (b):セミナー等の案内
- (c):就職に向けた本人の希望、経験や能力の把握
- (d):履歴書・職務経歴書の作成指導
- (e):ニーズにあった求人情報の提供
- (f):模擬面接指導
- (g):応募・面接が不調に終わった場合のフォローアップ
- (h):その他、通常の支援と比較して特に手厚い支援
- c:紹介事業者等において、個別支援を実施する体制にない場合であって、aおよびbに照らし実質的に個別支援と同等の支援である事
- 紹介日において、その他就職の援助を行うに当たって、特別の配慮を要する次のいずれかに該当する者
- 生活保護受給者
- 母子家庭の母等
- 父子家庭の父
- 日雇労働者
- 季節労働者
- 中国残留邦人等永住帰国者
- ホームレス
- 住居喪失不安定就労者
- 生活困窮者
- その他安定した職業に就く事が困難である者として職業安定局長が定める者
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の対象事業主
では次に、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の対象事業主について解説していきたいと思います。
対象となる事業主は、次のイからヨまでのいずれにも該当する事業主である事が条件となります。
- 安定所・紹介事業者等のトライアル雇用求人に職業紹介により、対象者をトライアル雇用した事業主である事。
- 対象者に係る紹介日前に、当該対象者を雇用する事を約していない事業主である事。
- トライアル雇用を行った事業所の事業主または、取締役の3親等以内の親族以外の対象者を雇入れた事業主である事。
- トライアル雇用を開始した日の前日から起算して過去3年間において、当該トライアル雇用を開始した事業所と雇用・請負・委任の関係にあった対象労働者または出向・派遣・請負・委任の関係により、当該雇入れに係る事業所において就労した事がある対象労働者を雇い入れるものでない事業主である事。
- トライアル雇用を開始した日の前日から起算して過去3年間において、当該トライアル雇用に係る対象者について職場適応訓練を行った事がない事業主である事。
- トライアル雇用期間について、トライアル雇用労働者に係る雇用保険被保険者資格取得の届け出を行った事業主である事。
トライアル雇用を開始した日の前日から起算して過去3年間に、当該トライアル雇用を行った事業所において、当該トライアル雇用以外にトライアル雇用を開始した対象者。
新型コロナウイルス感染症対応トライアルコースにおけるトライアル雇用を開始した者および、新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースにおけるトライアル雇用を開始した者のうち、トライアル雇用を実施した後に常用雇用へ移行しなかったトライアル雇用労働者。
新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用を実施した後に常用雇用へ移行しなかった新型コロナウイルス感染症対応トライアルコースにおけるトライアル雇用労働者および、新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアル雇用を実施した後に常用雇用へ移行しなかった新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアルコースにおけるトライアル雇用労働者の数に、トライアル雇用を実施した後にトライアル雇用結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書が提出されていないトライアル雇用労働者。
および、新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用または、新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアル雇用を実施した後に、新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用等結果報告書兼トライアル雇用助成金支給申請書が提出されていない新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用等労働者の数を加えた数が3人を超え、かつ、トライアル雇用を実施した後に常用雇用へ移行したトライアル雇用労働者。
新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用を実施した後に常用雇用へ移行した新型コロナウイルス感染症対応トライアル雇用労働者および新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアル雇用を実施した後に、常用雇用へ移行した新型コロナウイルス感染症対応短時間トライアル雇用労働者の数を上回っている事業主以外の者である事。 - 基準期間に、トライアル雇用を行った事業所において、雇用保険被保険者を解雇等事業主の都合により離職させた事業主以外の者である事。
- 基準期間に、トライアル雇用に係る雇入れを行った事業所において、雇用保険法第23条第2項に規定する特定受給資格者となる離職理由のうち、離職区分1Aまたは3Aに区分される離職理由により離職した者として、同法第13条に規定する受給資格の決定が行われたものの数を、当該事業所における当該雇入れ日における被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の者である事。
- トライアル雇用を開始した日の前日から起算して1年前の日から、当該トライアル雇用開始の日の前日までの間において、当該トライアル雇用に係る対象者を雇用していた事業主との間において、次の(イ)または(ロ)のいずれかに該当する等、資本的・経済的・組織的関連性等から密接な関係にある事業主以外の者である事。
- (イ):トライアル雇用に係る雇入れ日において、他の事業主の総株主または総社員の議決数の過半数を有する事業主を親会社、当該他の事業主を子会社とする場合における、親会社または子会社である事。
- (ロ):取締役会の構成員について、代表取締役が同一人物であることまたは、取締役を兼務している者がいずれかの取締役会の過半数を占めている事。
- トライアル雇用労働者に対して、トライアル雇用期間中に支払うべき賃金を支払った事業主である事。
- トライアル雇用を行った事業所において、次の(イ)から(ハ)までの書類を整備・保管している事業主である事。
- (イ):労働者の出勤状況が日ごと明らかにされた出勤簿等の書類
- (ロ):労働基準法第107条に規定する労働者名簿
- (ハ):労働基準法第108条に規定する賃金台帳
- 安定所・紹介事業者等の紹介時点と異なる条件により、トライアル雇用を行った事業主であって、トライアル雇用労働者に対し労働条件に関する不利益または違法行為があり、かつ、当該者から求人条件と実際の労働条件が異なる事について、安定所または都道府県労働局に申し出があった事業主以外の者である事。
- 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条第1項に定める、高年齢者雇用確保措置を講じていない事により、同法第10条第2項に基づき、当該雇用確保措置を講ずべき事の勧告を受けていない、かつ、法令に基づいた適切な高年齢者就業確保措置を講じていない事により、高年齢者雇用安定法第10条の3第2項に基づき、当該就業確保措置の是正に向けた計画作成勧告を受けていない事業主である事。
- 対象者のうち季節労働者に係るトライアル雇用を行った事業主であっては、指定地域に所在する事業所において、指定業種以外の事業を行う者である事。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の申請の流れ
では次に、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の申請の流れについて解説していきたいと思います。
まず、ハローワーク等の紹介により、対象者のトライアル雇用を開始します。
そして、トライアル雇用開始から2週間以内に、実施計画書をハローワークに提出します。
トライアル雇用終了日翌日~2ヶ月以内に、支給申請書をハローワークもしくは労働局に提出します。
その後、支給決定が決まると条件に応じた助成金が支給されます。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の支給額と必要書類
それでは最後に、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の支給額と必要書類を解説していきましょう。
支給額
トライアル雇用労働者1人につき、支給対象期間1ヵ月間あたり4万円が支給されます。
ただし、トライアル雇用労働者が母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は、5万円が支給されます。
また、支給対象期間が1ヵ月間に満たない月がある場合や、事業主の都合により休業期間がある場合は、トライアル雇用労働者が就労を予定していた日数に対して、実際に就労した日数の割合に応じて算出されます。
必要書類
- 安定所、地方運輸局、または労働局の受理印がある計画書の写し
- トライアル雇用労働者に係る出勤簿等トライアル雇用期間中の出勤状況が確認できる書類またはその写し
- トライアル雇用労働者に対して、トライアル雇用期間中に支払われるべき賃金について支払った事が確認できる賃金台帳またはその写し
- トライアル雇用労働者のトライアル雇用期間に係る雇用契約書もしくは雇入れ通知書等、トライアル雇用期間中の労働契約について確認出来る書類またはその写し
- トライアル雇用労働者が常用雇用へ移行した後の期間に係る雇用契約書もしくは、雇入れ通知書等当該労働者の常用雇用移行後の労働契約について確認できる書類またはその写し
まとめ
さて今回は、トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)について詳しく解説してみました。
働いた経験が少ない人や期間の定めのない雇用での就職に不安がある人が、常用雇用への移行を前提として試行雇用として働いてみる制度である「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」。
原則、3ヵ月その企業で働いてみて、適性を見極めながら就職をサポートする制度です。
事業主としても、常用雇用へ移行する前に対象者の能力を見極める事が出来るので、どちらにもメリットがある制度と言えるでしょう。
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