産業雇用安定助成金とは?要件や申請方法など詳しく解説します!

産業雇用安定助成金

新型コロナウイルスの影響によって、日本では様々な助成金制度が作られました。

今回解説する雇用安定助成金もその中の1つで、一時的に事業活動を縮小して、在籍型出向によって労働者の雇用を維持している事業主に対して、出向に要した賃金や経費の1部を助成する事でサポートします。

しかし、詳しい内容や申請方法がよく分からないという人も多いと思いますので、今回は雇用調整助成金について詳しく解説していきたいと思います。

目次

産業雇用安定助成金とは?

それではまず、産業雇用安定助成金とはそもそもどのような制度なのか?という部分から解説していきましょう。

産業雇用安定助成金とは、冒頭でも触れましたが新型コロナウイルスの影響によって、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向によって労働者の雇用を維持する場合に、出向元・出向先の双方の事業主に対して出向に要した賃金や経費の1部を助成するというものです。

助成する出向運営経費としては、「出向期間中の賃金」「教育訓練」「労務管理に関する調整経費」などが挙げられます。

出向初期経費としては、「就業規則の整備費用」「備品整備」などです。

産業雇用安定助成金の受給額など

では次に、産業雇用安定助成金ではどのくらいの助成が受けられるのかを解説していきましょう。

まず、出向運営経費(出向期間中の賃金等)に関しては、下記の通りになります。

  • 出向元が労働者の解雇などを行っていない場合:中小企業は9/10、中小企業以外は3/4
  • 出向元が労働者の解雇などを行っている場合:中小企業は4/5、中小企業以外は2/3
  • 上限額(出向元、出向先の合計):12,000円/日

そして、出向初期経費(出向の成立に要する経費)に関しては、下記の通りになります。

  • 助成額:出向元、出向先共に各10万円/1人あたり(定額)
  • 加算額(出向元で雇用過剰業種や生産量が一定程度悪化した企業):出向元と出向先共に各5万円/1人あたり(定額)

産業雇用安定助成金を受給する要件とは?

では次に、産業雇用安定助成金を受給するための要件について解説していきたいと思います。

まず、出向元の企業は新型コロナウイルスの影響によって、事業活動を一時的な縮小を行った事業主が対象となります。

そして出向先企業としては、出向の受け入れに際して別の人を離職させていない事や、雇用量が一定以上減少していない事が要件となっています。

さらに、出向元と出向先が親会社と子会社の間の出向でない事や、代表取締役が同一人物でない事など、資本的・経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められる事が必要となっています。

出向労働者が出向期間終了後に、出向元事業所に復帰する事が前提となっており、出向元と出向先の企業間で出向期間や出向中の労働者の処遇、出向労働者の賃金額と負担割合などを取り決めた出向契約を結び、労働組合などと協定を結ぶ事も必要です。

出向する労働者は、出向元企業で6ヶ月以上雇用保険に加入しており、個別に出向に同意している事が条件となります。

出向期間は、1ヵ月以上2年以内の期間の出向が対象となります。

産業雇用安定助成金の申請手続き

では次に、産業雇用安定助成金の具体的な申請方法や流れについて解説していきましょう。

申請手続きの流れ

産業雇用安定助成金の申請手続きの流れについては、下記の通りになります。

  1. 出向元事業主と出向先事業主との契約
  2. 労働組合などとの協定
  3. 出向予定者の同意
  4. 出向計画届の提出や要件の確認
  5. 出向の開始
  6. 支給申請と助成金受給

必要書類

まずは、計画届の提出に必要な書類です。

  • 様式第1号:出向実施計画(変更)届(出向元事業主)
  • 様式第1号別紙1:出向先事業所別調書
  • 様式第1号別紙2:出向初期経費に係る計画届(出向元事業所)
  • 様式第2号:出向実施計画(変更)届(出向先事業主)
  • 様式第2号別紙:出向初期経費に係る計画届(出向先事業所)
  • 様式第3号:出向元事業所の事業活動の状況に関する申出書及び確認書類
  • 様式第4号:出向先事業所の雇用指標の状況に関する申出書及び確認書類
  • 様式第5号:産業雇用安定助成金、出向に係る本人の同意書
  • 確認書類(1):出向協定書
  • 確認書類(2):事業所の状況に関する書類
  • 確認書類(3):出向契約に関する書類

次に、支給申請に必要な書類です。

  • 様式第6号(1):産業雇用安定助成金支給申請書
  • 様式第6号別紙:産業雇用安定助成金出向初期経費報告書(共通)
  • 様式第6号(2):出向元事業所賃金補填額・負担額等調書
  • 様式第6号(3):出向先事業所賃金補填額・負担額等調書
  • 様式第6号(4):支給対象者別支給額算定調書(共通)
  • 様式第6号(5):支給要件確認申立書(産業雇用安定助成金)
  • 様式第7号(1):雇用維持事業主申告書
  • 様式第7号(2):労働者派遣契約に係る契約期間遵守証明書
  • 申請様式:支払方法、受取人住所届
  • 確認書類(4):出向の実績に関する書類
  • 確認書類(5):雇用維持要件の確認書類

産業安定助成金申請の際の注意点

それでは最後に、産業雇用安定助成金申請の際の注意点について解説していきたいと思います。

まず、計画届の提出は出向開始日の前日(可能なら2週間前)までに行うようにしましょう。

計画届の提出や支給申請の手続きは、出向元事業主がまとめて行う事になっているので、出向先事業主は出向元事業主へ書類を提出するのを忘れずに行いましょう。

産業雇用安定助成金の窓口は、お近くの労働局やハローワークとなっています。

最寄りの労働局及びハローワークは、厚生労働省のホームページで確認する事が出来ます。

また、在籍型出向についての相談窓口は、公益財団法人産業雇用安定センターが、全国47都道府県に事務所があるので確認しましょう。

まとめ

さて今回は、新型コロナウイルスの影響によって、一時的に事業活動を縮小しなければならない事業主に対して、賃金や経費などの1部を助成する制度である産業雇用安定助成金について詳しく解説してみました。

産業雇用安定助成金は、出向を行う事で労働者の雇用を維持する事を目的としており、在籍型出向によって従業員を送り出すまたは当該従業員を受け入れる仕組みになっています。

産業雇用安定助成金の要件や支給額に関しては、随時改正が行われているので最新の情報は厚生労働省のホームページをチェックするようにしましょう。

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