デジタル・グリーン分およびこれに関する分野を成長分野等と呼びますが、これらの業務に従事させる事業主が就職困難者を継続して雇用する労働者として雇入れ、人材育成や職場定着に取り組む場合に他のコースよりも高額の助成金を支給する制度である「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」。
厚生労働省が、2022年4月1日から新たに新設したコースで、他の助成金の1.5倍の支給額という特徴があります。
今回は、そんな「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」について詳しく解説していきたいと思います。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の対象労働者
それでは早速、特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の対象労働者について見ていきましょう。
対象となる労働者は、下記の特定求職者雇用開発助成金の基本6コースのいずれかの支給要領に該当する者である事が条件となります。
特定就職困難者コース
- 特定就職困難者コース
- 60歳以上
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 母子家庭の母等
- 父子家庭の父
- 中国残留邦人等永住帰国者
- 北朝鮮帰国被害者等
- 認定駐留軍関係離職者(45歳以上)
- 沖縄失業者求職手帳所持者(45歳以上)
- 漁業離職者求職手帳所持者(45歳以上)
- 手帳所持者である漁業離職者等(45歳以上)
- 一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者(45歳以上)
- 認定港湾運送事業離職者(45歳以上)
- その他就職困難者
- 生涯現役コース(65歳以上)
- 被災者雇用開発コース
- 被災離職者
- 被災地求職者
- 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
- 発達障害者
- 難治性疾患患者
- 就職氷河期世代安定雇用実現コース
- 就職氷河期世代長期不安定雇用者
- 生活保護受給者等雇用開発コース
- 生活保護受給者
- 生活困窮者
ただし、一定の能力を必要とする業務に従事する場合にあっては、これに加えて、就労の経験のない職業に就く事を希望する者である事。
なお、この場合はパート・アルバイト等の就労の経験を含め、学校在学中のパート・アルバイト等の就労の経験および通算した就労の経験の年数が1年未満の場合は就労経験がないものとして扱います。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の対象事業主
では次に、特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の対象事業主について解説していきたいと思います。
対象となる事業主は、いずれかの特定求職者雇用開発助成金支給要領に該当する事業主のうち、下記のイからトまでのいずれにも該当する事業主である事が条件となります。
- 対象労働者を、下記のいずれかに該当する業務に従事させる事業主である事。
- デジタル・DX(デジタルトランスフォーメーション)化関係業務
- グリーン・カーボンニュートラル化関係業務
- 一定の職業能力を必要とする業務
- 対象労働者について、下記のいずれかに該当する雇用管理改善または職業能力開発に係る取り組みを実施等する事業主である事。
- 雇用管理改善:諸手当制度・研修制度・健康づくり制度・メンター制度・短時間正社員制度・人事評価制度・賃金表の作成
- テレワーク環境の整備・その他の雇用管理改善に資する制度
- 職業能力開発:事業主による職業訓練の実施・他社が実施する教育訓練の受講機会の提供・職業能力検定の受験機会の提供
- 実習併用職業訓練の実施・キャリアコンサルティング機会の提供・有給教育訓練休暇・長期教育訓練休暇・再就職準備休暇の付与
- 事業内職業能力開発計画の作成・事業内職業能力開発推進者の設置・熟練技能等の習得の促進・その他の職業能力開発に資する取り組みの実施。
- 雇用管理改善:諸手当制度・研修制度・健康づくり制度・メンター制度・短時間正社員制度・人事評価制度・賃金表の作成
- 対象労働者を紹介した安定所を管轄する都道府県労働局の長に対し、雇入れ日から起算して1ヵ月以内に対象労働者に係る「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」実施計画書を提出した事業主のうち、対象労働者を雇入れた事業所の所在地を管轄する都道府県労働局の長から実施計画書に係る不認定を受けていない事業主である事。
- 管轄労働局の長に対し、対象労働者に従事させた成長分野等の業務の内容ならびに、対象労働者に適用および実施した雇用管理改善または職業能力開発の取り組み内容に関する「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」実施結果報告書を支給申請時に提出する事業主である事。
- 管轄労働局長に対し、対象労働者の雇入れ後の毎月決まって支払われる賃金の引き上げに関する「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」賃金引上げ計画書および当該計画書の取組結果等に関する「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」賃金引上げ結果報告書を、支給申請時等に提出する事業主である事。
- 人材育成計画を作成する事業主または、雇用管理責任者を選任する事業主である事。
- 毎月決まって支払われる賃金について、雇入れ日から起算して3年以内に、当該雇入れ日の当該賃金の額と比べて5%以上の引き上げが行われる者として雇入れる事業主である事。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の申請の流れ
では次に、特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の申請の流れについて解説していきたいと思います。
まずは、ハローワーク等からの紹介によって、対象者の雇入れを行います。
その後、計画書を作成し提出、支給申請書の内容の調査・確認が行われます。
支給・不支給の決定がなされ、支給決定が決まると助成金が支給されます。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の支給額と必要書類
それでは最後に、特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)の支給額と必要書類について解説していきましょう。
支給額
短時間労働者以外
- 高年齢者、母子家庭の母等、就職氷河期世代不安定雇用者、生活保護受給者等:90万円(中小企業以外は75万円)
- 65歳以上の高年齢者:105万円(中小企業以外は90万円)
- 身体、知的障害者、発達障害者、難治性疾患患者:180万円(中小企業以外は75万円)
- 重度障害者等:360万円(中小企業以外は150万円)
短時間労働者
- 高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等、生活保護受給者等:60万円(中小企業以外は45万円)
- 65歳以上の高年齢者:75万円(中小企業以外は60万円)
- 障害者、発達障害者、難治性疾患患者:120万円(中小企業以外は45万円)
各種必要書類
対象労働者種別が、同一の特定求職者雇用開発助成金基本6コース支給要領に規定する書類。
ただし、雇入れ日において対象労働者である事を証明するための書類のうち、下記の対象労働者については記載の通りとする。
障害者基本必要書類
- 身体障害者:身体障害者福祉法第15条第4項の規定に基づき、交付を受けた身体障害者手帳(写)であって、対象労働者の氏名、年齢および障害の程度が確認できるもの。
- 重度身体障害者:身体障害者手帳(写)であって、対象労働者の氏名、年齢および障害の程度が確認出来るもの。
- 精神障害者:精神保健福祉法第45条第2項の規定に基づき、交付を受けた精神障害者保健福祉手帳(写)または、主治医の診断書・意見書であって対象労働者の氏名が確認できるもの。
対象労働者を成長分野等の業務に従事させる事業主において提出が必要となる書類
- 実施結果報告書
- 雇用管理改善を対象労働者に適用した事が確認できる書類
- 人材開発支援助成金の支給申請書(写)
- 賃金引上げ計画書
- 賃金引上げ報告書ならびに当該報告書の毎月決まって支払われる賃金を確認できる賃金台帳またはその写し
まとめ
さて今回は、「特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)」について詳しく解説してみました。
特定求職者雇用開発助成金(成長分野人材確保・育成コース)は、新しく新設されたコースという事もあり、まだまだ支給要領などが具体的に分からないという事業主も多いでしょう。
本コースは、従事させる業務の内容によって支給判断がなされるので、対象労働者を雇用する対象事業主に該当する場合は、ぜひ活用してみてくださいね。
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