高年齢者や障害者・母子家庭の母等の就職困難者を、ハローワーク等の紹介によって継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して、助成金を支給する「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」。
中小企業に優遇される助成金もあり、雇用を考えている事業主にとって人材の確保と助成金を受け取る事が出来る制度となっています。
今回は、そんな「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」について詳しく解説していきたいと思います。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象労働者
それでは早速、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象となる労働者を解説していきましょう。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象労働者は、雇入れ日現在の満年齢が65歳未満の者で下記の該当する必要があります。
- 60歳以上の者
- 身体障害者
- 知的障害者
- 精神障害者
- 母子家庭の母等
- 父子家庭の父(児童扶養手当を受給している方に限る)
- 中国残留邦人等永住帰国者
- 北朝鮮帰国被害者等
- 認定残留軍関係離職者(45歳以上)
- 沖縄失業者求職手帳所持者(45歳以上)
- 漁業離職者求職手帳所持者(45歳以上)
- 手帳所持者である漁業離職者等(45歳以上)
- 一般旅客定期航路事業等離職者求職手帳所持者(45歳以上)
- 認定港湾運送事業離職者(45歳以上)
- ウクライナ避難民
- その他の就職困難者(アイヌの人々:北海道に居住している45歳以上の者でありかつ、ハローワークの紹介による場合に限る)
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象事業主
では次に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の対象事業主を解説していきましょう。
対象事業主は、以下の全てに該当している必要があります。
- 雇用保険の適用事業主である事。
- 対象労働者をハローワーク、地方運輸局、適正な運用を期すことの出来る特定地方公共団体、有料・無料の職業紹介業者または無料船員職業紹介事業者の紹介により、雇用保険の一般被保険者として雇い入れる事業主である事。
- 対象労働者を雇用保険の一般被保険者として継続して雇用する事が、確実であると認められた事業主である事。
- 対象労働者の雇い入れ日の前後6ヶ月間に、事業主の都合による従業員の解雇をしていない事。
- 対象労働者の雇い入れ日よりも前に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の支給決定がなされた者を、支給申請日の前日から過去3年間に、その助成対象期間中に事業主の都合により解雇・雇い止め等をしていない事。
- 基準期間に倒産や解雇など、特定受給資格者となる離職理由の被保険者数が対象労働者の雇い入れ日における被保険者数の6%を超えていない事。
- 対象労働者の出勤状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿など)を整備・保管し、管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局が行う実地調査に協力するなど、助成金の支給または不支給の決定に係る審査に協力する事業主である事。
- 対象労働者の雇い入れ日よりも前に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の支給決定の対象となった者のうち、雇入れ日から起算して1年を経過する日(以下「確認日A」とする)が基準期間内にある者が5人以上いる場合であって、それらの者が確認日Aの時点で離職している割合が25%を超えていない事。
- 対象労働者の雇い入れ日よりも前に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の支給決定の対象となった者のうち、助成対象期間の末日の翌日から起算して1年を経過する日(以下「確認日B」とする)が基準期間内にある者が5人以上いる場合であって、それらの者が確認日Bの時点で離職している割合が25%を超えていない事。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)を受給するための要件
では次に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)を受給するための要件について解説していきたいと思います。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)を受給するためには、下記のいずれにも該当しない事が条件となります。
- ハローワーク等の紹介以前に、雇用の予約があった対象労働者を雇い入れる場合。
- 職業紹介を受けた日に、雇用保険の被保険者である者など失業などの状態にない者を雇い入れる場合。
- 助成金の支給対象期間の途中または支給決定までに、対象労働者が離職した場合。
- 雇入れ日の前日から過去3年間に、当該雇い入れに係る事業所と雇用・請負・委任の関係にあった者または、出向・派遣・請負・委任の関係により当該雇い入れに係る事業所において就労した事のある者を雇い入れる場合。
- 雇入れ日の前日から過去3年間に、当該雇い入れに係る事業所において、通算して3ヵ月を超えて訓練・実習等を受講等した事がある者を雇い入れる場合。
- 雇入れ日の前日から過去1年間に、対象労働者と雇用・請負・委任の関係にあった事業主、出向・派遣・請負・委任の関係により対象労働者を事業所において就労させた事のある事業主、対象労働者が通算して3ヵ月を超えて受講等した事がある訓練・実習等を行っていた事業主と、資本的・経済的・組織的関連性等から見て密接な関係にある事業主が、当該対象労働者を雇い入れる場合。
- 対象労働者が、雇入れ事業主の事業所の代表者または取締役の3親等以内の親族である場合。
- 雇入れ日の前日から過去3年間に、職場適応訓練を受けた事のある当該職場適応訓練を行った事業主が雇い入れる場合。
- 支給対象期における対象労働者の労働に対する賃金を、支払い期日を超えて支払っていない場合。
- ハローワーク等の紹介時点と異なる条件で雇い入れた場合で、対象労働者に対して労働条件に関する不利益、または違法行為があり、かつ当該対象労働者から求人条件が異なる事についての申し出があった場合。
- 助成金の申請を行う際に、雇入れに係る事業所で成立する保険関係に基づく前年度より前のいずれかの年度の労働保険料を滞納している場合。
- 偽りその他の不正行為により、本来受ける事の出来ない助成金などを受け、または受けようとした事により5年間にわたる不支給措置が取られている、ならびに過去5年間に当該偽りその他の不正行為に関与した役員等がいる場合。
- 労働関係法令の違反を行った事により、助成金を支給する事が適切でないものと認められる場合。
- 高年齢者雇用確保措置を講ずべき事の勧告、または高年齢者就業確保措置の是正に向けた計画作成勧告を受けた場合。
- 障害者の日常生活および社会生活を総合的に支援するための法律に基づく勧告等を受けた場合。
- 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行っており、接待業務などに従事する労働者として雇い入れる場合。
- 事業主または事業主の役員等が暴力団に関係している場合。
- 事業主または事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行った又は行う恐れがある団体等に属している場合。
- 支給申請日または支給決定日の時点で倒産している場合。
- 不正受給が発覚した場合に、事業主名等を公表する事に同意していない場合。
- 「雇用関係助成金支給要領」に従う事に同意していない場合。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の申請の流れ
では次に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の申請の流れについて解説していきましょう。
まず、ハローワーク等の紹介からの紹介によって、対象者の雇入れを行います。
そして、助成金の第1期支給申請を経て、支給申請書の内容の確認・調査が行われ、支給・不支給が決定します。
その後、申請事業主に通知書が送付され、支給決定の場合は助成金が支給されます。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の支給額や必要書類
それでは最後に、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の支給額や必要書類について解説していきましょう。
支給額
まず、短時間労働者以外の支給額です。
- 高年齢者、母子家庭の母等:60万円、中小企業50万円
- 身体、知的障害者:120万円、中小企業50万円
- 重度障害者等:240万円、中小企業100万円
短時間労働者は、下記の通りになります。
- 高年齢者、母子家庭の母等:40万円、中小企業30万円
- 障害者:80万円、中小企業30万円
必要書類
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)の申請に必要な書類は、下記の通りになります。
- 支給要件確認申立書
- 支払方法、受取人住所届
- 勤怠状況等確認書
- 対象者である事を証明する書類(障害者手帳・住民票など)
- ハローワークなど職業紹介事業者等が発行した職業紹介証明書
まとめ
さて今回は、特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)について詳しく解説してみました。
特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)は、基本的に通年募集されていて支給要件を満たしていて不備なく申請すれば、採択されるのはそれほど難しくないものです。
しかし、支給要件などは常に最新の情報を確認する必要があるので、申請を行う際は必ず厚生労働省のホームページを確認するようにしましょう。
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