近年、さまざまな経済支援策が存在しているので、支援策の名前を耳にする機会も増えています。
助成金・補助金・給付金、それぞれよく聞く言葉とはいえど、実際どういった違いがあるのか、どういった時に申請ができるのかを知っている人は少ないです。
違いを理解していないと、適宜自身が申請すべき支援を申請することが難しくなるので、違いを知ることは重要といえます。
この記事では、言葉としては知っているようで実は知らない助成金・補助金・給付金それぞれの違いと注意点をご紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
助成金は支援手段の1つ
助成金は、一定の条件を満たすことでほとんどの方が支給されるお金です。
例えば、雇用関係・研究開発費などが対象にあたります。
種類も複数あるので、条件を満たせばそれぞれ受給可能です。
助成金の目的は、景気悪化のせいで従業員を雇っていることが難しい・企業として働く環境をよくすることが難しい会社へ向けて、支援します。
設備投資などの助成金もありますが、基本的に労働環境の改善を目的として意味で支給されます。
法人化していない個人事業主でも、社員を雇用保険に加入させている事業者であれば対象となるので、困った際は必ず相談しましょう。
条件や資格は決められていますが厳しいチェックや審査が不要で、比較的スムーズにお金を受け取れます。
助成金の流れ
雇用契約の支援と研究開発系の2つに分類されていて、どちらも申請の流れに大きな違いはありません。
まず、自分が申請したい助成金の必要書類を集めます。
助成金の種類によって、必要書類は違うため必ず確認してから集めてください。
そのほか、助成金の対象となるためには以下の基準を満たしている必要があります。
- 雇用保険適用事務所である
- 過去3年間不正受給をしていない
- 2年以上労働保険を滞納していない
- 過去1年以内に労働関連法規に違反していない
通常通りの会社経営を行っていれば、問題はありませんのでほとんどの企業が対象です。
ただ、労働関連法規はあとからチェックが入る場合もあるため、しっかりと対策を行い、正しい運用が必要といえます。
種類によっては申請するための期間や締め切りも異なるので、それぞれの期日はきちんと守ってください。
申請の流れは、実施計画の申請を行い、計画を実施した後、支給申請を行う形です。
特に難しい流れではありませんが、人気がある助成金の場合は早い段階で受付が終了する場合もあるので、早めの行動が重要といえます。
助成金の注意点
条件や資格に当てはまればほぼ支給が可能と考えて良いですが、以下の注意点があります。
- 急遽条件変更が発生する可能性がある
- チェックが厳しい種類もある
- 申請書類によっては「不支給」になる可能性もある
助成金は適宜条件や対象になる人が変更されるため、最新の情報を理解しておかないと以前は良しとされていたことがダメになっている場合も多いです。
条件や資格に当てはまれば、ほぼ支給されますが中には提出した書類や添付書類を確認した段階で、要件を満たしていないと判断される可能性もあります。
申請後に審査を行うケースは少ないですが、中には存在しています。
チェックが厳しい場合は「不支給」という判断がおりる場合もあるのです。
補助金は資金調達手段の1つ
補助金は応募期間が決められており、期間内に応募した上でさらに審査が通った場合のみ支給されます。
主に新規事業・創業促進などの国策を促進するための資金調達手段です。
何らかの政策目的を達成するために企業や個人事業主を国や自治体が支援するため、財源は税金です。
あらかじめ予算を決定させてから公募がスタートするので、概ね4月〜5月あたりに公募されるケースがほとんどといえます。
中には、特例で急遽公募が行われる可能性もあるため、情報収集は大切です。
また、特定の用途や事業のためといった目的が明確になっている場合しか申請ができないので、きちんと補助金の内容を理解した上で申請してください。
補助金の流れ
細かい補助金を全て含めると、1万種類以上もあるため全てを把握するのは難しいでしょう。
企業が成長するために用意されている制度なので、業種や業態に関わらず多くの企業が対象です。
サービス・ビジネスモデルに対する補助金などもあるため、まずは相談することが不可欠と言えます。
それぞれの目的や趣旨に対して、自身が行なっている事業内容がしっかり合致しているのかどうかが重要です。
そのため、事前に補助対象となる経費や補助の割合、上限を確認しましょう。
申請の流れは、以下です。
公募期間が短いケースがほとんどのため、書類を期限内に提出するにはしっかりと準備を行わなくてはいけません。
期限に間に合っていたとしても、先着順で審査を行われるケースもあるので、注意が必要です。
補助金は後払いなので、申請者が一旦費用を立て替えた上で領収書と支払内容がわかる書類を提出した後に振り込まれます。
さらに、補助金を受けた後の報告が義務付けられている場合もあるので、補助金は非常に厳しい決まりがあるのです。
補助金の注意点
補助金は審査が必須となるため、支給されるかは申請してみなければわかりません。
以下の注意点をよく理解し、申請を行いましょう。
- 予算が決められている
- 倍率が高くて受給できない可能性もある
- 支給されるまでかな時間がかかる
補助金は税金でまかなわれているため、予算が決められています。
そのため、公募期間内でも予算に達した時点で終了する可能性も高く、提出書類などをまとめている間に終わってしまう可能性があるのです。
倍率が高いケースも多いので、審査に落ちてしまう可能性も高いといえます。
申請が通ったケースでも、実際に受給するまでは平均的に1年程度時間が必要になるため、支給までに時間がかかる点も意識しておきましょう。
給付金は緊急事態・緊急措置の1つ
給付金は受給ができる条件を満たしていれば、誰でも受給することができます。
助成金や補助金とは違い、企業じゃなく個人でも申請が可能です。
ほとんどの場合が、失業などで家賃が払えない、介護や出産で仕事ができない人に対する緊急的な措置として給付されます。
緊急性の高い場合に支給されるので、多くのプロセスは必要なく、使用目的なども細かく制限されていないので気楽さがメリットです。
事業主を対象としている給付金の場合は、法人か個人事業主かで最大金額に変動があります。
個人を対象とした給付金の場合は、雇用保険関係のものが多いため雇用保険に加入していれば問題なく申請できる場合がほとんどです。
申請の流れもとても簡単で、給付金によって自宅に申請書が郵送される場合と自身で区役所に出向いて申請したい旨を伝えて申請書を書く場合とあります。
申請後早くて大体2週間程度で給付されますが、申請書の不備や添付書類の漏れなどがあればその分長引きます。
また、内容を確認後に簡単な審査が行われる給付金もあり、内容によっては「不支給」となったり、提出書類を追加しなくてはいけなくなるなどもあるので、注意してください。
給付金の注意点
給付金は、基本的に難しいことはなくて給付資格がある人が申請すると、ほぼ支給されます。
個人・法人・個人事業主でも給付金はありますが、特にフリーランスや個人事業主の場合は注意が必要です。
本来、給付金は緊急事態を救うためにあるので、例えば売上が減少したことを証明しなくてはいけないケースも多く、書類が揃わなくて申請ができない可能性もあります。
そのため、フリーランスや個人事業主は確定申告や売上・経営に関連する書類は必ず残しておきましょう。
【助成金・補助金・給付金】は原則返済不要
助成金・補助金・給付金は、実際に金銭を支給してもらった後、分割などで返済を行う必要はありません。
ほとんどの人は違いがよくわからずに、自分がどの支援金を申請すべきなのかがわからない可能性があります。
返済不要なのは同じですが、それ以外には違いが多くあるので、よく理解しておきましょう。
受給までのハードルの高さが違う
助成金・補助金・給付金は、申請することで給付されるもしくは審査が行われた後に、振り込まれます。
ただ、それぞれ受給されるハードルの高さが違うのです。
最もハードルが低く支給の範囲が広いのは給付金で、緊急時の救済措置として扱われているため受給までのハードルが高くては意味がありません。
申請してから支給されるまでの期間も短く、後払いではなく随時支給される点も助成金や補助金とは違います。
助成金や補助金は、一定の条件や支給資格が決められていて、申請をすれば必ずお金がもらえるというわけではありません。
助成金の場合は、要件を満たしていて申請書類に不備や問題がなければ、基本的に支給されると思って良いです。
中には提出した書類の内容によって、不支給になる可能性もあるので、自分が支給の対象なのか提出書類に問題がないかをよく確認してから申請しましょう。
助成金、補助金、給付金の中でもっともハードルが高いのは、補助金です。
補助金の場合は、税金からまかなわれていて予算が決められているので、申請期間内であっても急遽締め切られるケースも多くあります。
倍率が高くて審査も厳しいため、不支給になったり申請期間に間に合わなかったりという可能性も高いです。
補助金は申請すれば誰でもOKなのではなくて、申請した内容を労働局がきちんと確認して選ばれた会社だけが支給されます。
ただし、目的外の使用を防止するために原則後払いとなるので、実際に支給されるまでは非常に時間がかかる点が特徴です。
目的が違う
助成金、補助金、給付金、それぞれ似たような名前であり、支援目的が基本理念で同じように感じられても、細かくいえば違います。
まず助成金は主に雇用関係や研究関係の支援金なので、雇用・労働環境の整備や改善のため、もしくは研究費用の資金調達が目的です。
助成金は、雇用維持の他にも新規人材を雇用する、人材育成を行うなども対象と言えます。
働く人を守る意味合いが強いため、法人は助成金を利用するケースが多いです。
雇用関係の支援金だと、雇用保険料から支払われているので労働保険に入っていないと受給ができない点はよく理解しておきましょう。
補助金は、企業成長を促すことが目的なので商品開発費用やIT導入補助金など、これからの社会に必要な計画を立てている企業に支給されます。
国や自治体などの政策促進の1つなので、税金が財源となっているため、しっかりとした目標作りが必要です。
ただ、厳しい審査を通過する必要があるため、新規事業・サービスを導入する際に申請したい場合は補助金制度を調べるとともに必要な書類は何かなどもきちんと把握しておくと良いです。
給付金は緊急的にお金が必要な人のために作られた制度なので、病気や妊娠などにより通常通り仕事ができない人を支援することが目的といえます。
そのため、条件を満たしていれば複雑な審査や申請書類を提出する必要はなく、法人や個人事業主も申請が可能ですが、多くの一般個人が給付金を受けられるのです。
管轄が違う
助成金、補助金、給付金それぞれ担当している管轄が違います。
助成金は厚生労働省が主な管轄ですが、研究費用などの助成金の場合は経済産業省が管轄しています。
同じ助成金でも雇用関係の支援金を申請する場合は厚生労働省が管轄で、研究費用なら経済産業省と別々の管轄のため、申請してから入金までのスピードも若干違います。
補助金はほとんどの場合が経済産業省が管轄していて、給付金は厚生労働省・経済産業省・総務省が管轄しています。
そのほかにも、給付金は国ではなくて地方自治体が単独で行っているケースも増えてきました。
給付金は種類が豊富なので、請け負う管轄も複数あるのです。
管轄が違うことによってデメリットはありませんが、申請のスムーズさや給付金までのスピードにはわずかに違いがあります。
【まとめ】違いを理解して適切な支援を受けよう
助成金、補助金、給付金は原則返済不要の支援金です。
それぞれ審査のあるなしや受給までのハードルの高さなど違いがありますが、しっかりと給付内容を確認し、申請を行なってください。
助成金、補助金、給付金それぞれ申請の期限が決められているので、期間内に申請を行いましょう。
給付金の場合は、世の中の情勢によって申請の期限が延長になる、条件が緩和されるなどの変化も見受けられるため、情報を探しておくのは必須です。
困った時の支援なので、自身の状況に合わせて適宜申請を行ってください。
適切な支援を受けることで、雇用環境や自身の生活を守ることができます。
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