いわゆる就職氷河期と呼ばれる時代に、正規雇用の機会を逃したなどの理由によって十分なキャリアを形成できなかった人達を、ハローワーク等の紹介によって正規雇用労働者として雇入れる事業主に対して助成金が支払われる「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」。
正規雇用としての実務経験が少ない人達の定着を目的とし、それに繋げる活動を積極的に行う事業主をサポートするものです。
今回は、この「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」について詳しく解説していきたいと思います。
特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の対象労働者
それではまず、特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の対象となる労働者について解説していきましょう。
対象となる労働者は、下記の①から④までのいずれにも該当する者とします。
- 雇入れ日時点の満年齢が35歳以上55歳未満の者
- 雇入れ日の前日から起算して、過去5年間に正規雇用労働者として雇用された期間を通算した期間が1年以下であり、かつ、雇入れ日の前日から起算して過去1年間に正規雇用労働者として雇用された事がない者
- 正規雇用労働者として雇用される事を希望している者
- 安定所等の紹介の日において、安定した職業に就いていない者であって、安定所・職業紹介事業者等において個別支援等の就労に向けた支援を受けている者
特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の対象事業主
では次に、特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の対象となる事業主について解説していきましょう。
対象となる事業主は、下記の①から⑤までのいずれにも該当する事業主である事が必要です。
- 対象労働者を、その属性を把握した上で、安定所もしくは運輸局または適正な運用を期すことの出来る有料・無料職業紹介事業者等による氷河期コースまたは成長分野等人材確保・育成コースの対象労働者として明示した職業紹介により、次の(イ)から(ハ)までの
- いずれにも該当する通常の労働者として、かつ短時間労働者を除く一般被保険者として雇入れる事業主である事。
- イ:期間の定めのない労働契約を締結している労働者である事
- ロ:所定労働時間が同一の事業主に雇用される通常の労働者の所定労働時間と同じ労働者である事
- ハ:同一の事業主に雇用される通常の労働者に適用される就業規則等に規定する賃金の算定方法および支給形態、賞与、退職金、休日、定期的な昇給の有無等の労働条件について、長期雇用を前提とした待遇が適用されている労働者である事
- 基準期間において、当該雇い入れに係る事業所で雇用する被保険者を解雇等事業主の都合で離職させた事業主以外の事業主である事
- 当該雇入れに係る事業所で、対象労働者の雇い入れ日よりも前に特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の支給決定がなされた者を、支給申請日の前日から起算して3年前の日から当該支給申請日の前日までの期間において、その助成対象期間中に解雇等事業主の都合で離職させた事業主以外の事業主である事
- 基準期間において、当該雇入れに係る事業所において、特定受給資格者となる離職理由のうち離職区分1Aまたは3Aとされる離職理由により離職した者として、受給資格決定処理が行われたものの数を、当該事業所における当該雇入れ日における被保険者数で除した割合が6%を超えている事業主以外の事業主である事
- 事業所において、次の書類を整理・保管している事業主である事
- 対象労働者の出勤状況が日ごとに明らかにされた出勤簿、タイムカードまたは船員法第67条に定める記録簿等の書類
- 対象労働者に対して支払われた賃金について、基本賃金とその他の諸手当とが明確に区分されて記載された賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
- 当該事業所を離職した労働者の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿等の書類
特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の申請の流れ
では次に、特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の申請の流れについて解説していきます。
まず、ハローワーク等の職業紹介事業者等の紹介により、対象となる人材を雇入れます。
そして、申請期間内に必要書類と共に、ハローワークや労働局等にて申請手続きを行い審査が行われます。
助成金の支給決定がなされると、助成金が支給されるという流れになります。
特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の支給額や必要書類
それでは最後に、特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)の支給額と申請に必要な書類について解説していきましょう。
支給額
- 大企業:支給総額50万円(対象期間1年)
- 中小企業:支給総額60万円(対象期間1年)
必要書類
申請に関して、必ず必要になる必須書類は下記の通りになります。
- 対象労働者の労働時間および対象労働者に対して支払われた労働に対する賃金が、手当ごとに区分された賃金台帳またはその写し
- 雇入れ日の属する月および支給対象期における対象労働者の出勤状況が、日ごとに明らかにされた出勤簿等またはその写し
- 官公署の発行する書類であって、対象労働者の氏名および年齢が確認できる書類
- 1週間の所定労働時間および正規雇用労働者として雇入れられた事が確認できる雇用契約書または、雇入れ通知書、労働協約または就業規則、賃金規定等の写し
- 申立書
- 有料、無料職業紹介事業者等の発行した職業紹介証明書
- 支給要件確認申立書
次に、必ず全てが必要になるというわけではありませんが、必要に応じて添付する書類は下記の通りになります。
- 事業所を離職した常用労働者の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿等の書類またはその写し
- 最低賃金法第7条の最低賃金の減額の許可を受けた事を示す書類
- 中小企業事業主であるか否かを確認するための書類
- 総勘定元帳など
まとめ
さて今回は、「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」について詳しく解説してみました。
いわゆる就職氷河期と呼ばれていた時代に、何らかの理由により正規雇用労働者としてのキャリアを積む事が出来なかった人達の、継続・安定して労働できる場所での定着を目的としているこの制度は、雇入れる側にとっても人材不足の解消に繋がる制度と言えます。
対象となる人達を積極的に雇入れている事業主の方は、ぜひ今回ご紹介した助成金を活用してみてくださいね。
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