離職を余儀なくされた労働者を、早期に雇い入れて継続して雇用する事が確実である事業主に対して助成を行う「労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)」。
企業の経営状況が落ち込む事で、離職を余儀なくされた労働者の雇用を支援する事で、生産性の向上を実現させようという制度ですが、実際に具体的な内容が分からないという人も多いでしょう。
そこで今回は、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)について詳しく解説していきたいと思います。
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)とは
それではまず、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)とはどのようなものなのか?という事について解説していきましょう。
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)とは、企業の経営状態の落ち込みによって離職を余儀なくされた労働者の早期再就職を目的としており、離職日の翌日から3か月以内に雇用した事業主に対して助成金が支給されるというものです。
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)支給対象の労働者
では次に、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給対象である労働者について解説していきましょう。
支給の対象となる労働者は、①、②のいずれにも該当する労働者です
- 本コースの支給申請を行う事業主に雇い入れられる直前の離職の際に、「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者であった事(当該離職後に、申請事業主による雇い入れまでの間に他の事業所に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇用された事がないこと)
- 「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者として雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがない事
また、人材育成支援の支給を受けるためには、支給対象者が①、②に加えて③、④にいずれにも該当している事が必要です。
- 申請事業主が作成した訓練の計画に基づいて訓練を受講している事
- 助成対象となる訓練の計画時間数の8割以上を受講した事
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給対象となる措置
では次に、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給対象となる措置について解説していきます。
支給対象者について、次の①~③のいずれにも該当する形で雇用している事が必要です。
- 離職日の翌日から起算して3ヵ月以内に、一般被保険者または高年齢被保険者かつ期間の定めがない労働者として雇い入れる事
- ②雇い入れ日から起算して6ヶ月を経過した日(支給基準日)を超えて引き続き雇用している事
- ③「②」の支給基準日経過後、支給決定日までに支給対象者を事業主都合で解雇等していない事
また、人材育成支援の支給を受けるためには、①~③に加えて、以下の④~⑧の全てに該当する事が必要です。
- 職業訓練計画を作成し、支給対象者を雇い入れた事業所を管轄する労働局に提出し、訓練開始前に計画認定を受けている事
- 職業能力開発推進者を選任している事
- 認定を受けた職業訓練計画に基づき、支給対象者の雇い入れ日から6か月以内に訓練を開始する事
- 訓練実施期間中、支給対象者に対して賃金を支払う事
- 支給対象者を訓練終了日を超えて継続して雇用している事
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)支給対象の事業主
では次に、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給対象となる事業主について解説していきましょう。
本コースを受給するためには、以下の①~⑦の要件全てに該当している事業主である事が必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主である事
- 支給のための審査に協力する事
- 申請期間内に申請を行う事
- 支給対象者の雇い入れ日から起算してその日以前の1年間において、直前に支給対象者を雇用していた事業主と資本的・経済的・組織的関連性から見て密接な関係にない事
- 支給対象者に対する賃金を支払期日までに支払っている事
- 再就職支援の委託を受けた職業紹介事業者又は雇い入れ日から起算して1年前の日から当該再就職の日までの間において当該職業紹介事業者と、資本的・経済的・組織的関連性から見て密接な関係にある事業主でない事
- 事業所において、次の書類を整備・保管している事業主である事(船員法において整備・保管が義務付けられている書類を含む)
- 支給対象者の出勤状況が日ごとに明らかにされた出勤簿、タイムカード
- 支給対象者に対して支払われた賃金について、基本賃金とその他の諸手当とが明確に区分されて記載された賃金台帳または船員法第58条の2に定める報酬支払簿
- 離職した労働者の氏名、離職年月日、離職理由等が明らかにされた労働者名簿等の書類
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の申請までの流れや必要書類
では次に、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の申請までの流れや必要書類について解説していきたいと思います。
申請までの流れ
- 「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象となる方の離職
- 対象となる方の雇い入れ(離職日の翌日から3ヵ月以内)
- 支給申請
- 助成金支給
このような流れで、助成金申請から支給までが行われます。
申請に必要な書類
次に、申請に必要な書類です。
ここでは、通常助成の申請に必要な書類をご紹介します。
- 様式第10号:支給申請書
- ・様式第1号:支給要件確認申立書
- ・様式第9号:対象労働者雇用状況等申立書
- ・確認書類:再就職援助計画対象労働者証明書(写)または求職活動支援書(写)
- ・確認書類:雇用契約書(写)または雇い入れ通知書(写)等
- ・確認書類:支給対象者に支払われた賃金が手当ごとに区分された賃金台帳等(写)
- ・確認書類:雇い入れ日の属する月の出勤簿等
労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給額や人材育成支援受給手続き
それでは最後に、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)の支給額や人材育成支援受給手続きについて解説していきましょう。
支給額
令和4年12月2日以降に提出された再就職援助計画の対象者を早期に雇い入れた場合の支給額は、通常助成では支給対象者1人につき30万円が支給されます。
優遇助成では、一定の成長性が認められる事業所の事業主が、地域経済活性化支援機構の再生支援等、一定の要件を満たした事業所等から離職した方を雇い入れた場合、支給対象者1人につき40万円が支給されます。
新型コロナウイルス感染症対応による優遇助成で雇い入れた方については、新型コロナウイルス感染症の影響により離職した45歳以上の者を離職前と異なる業種の事業所で雇い入れた場合、支給対象者1人につき80万円が支給されます。
人材育成支援受給手続き
最後に、人材育成支援受給手続きについてです。
支給対象訓練を実施して人材育成支援の助成を受ける場合は、下記の必要書類を添えて訓練計画認定申請書と共に管轄の労働局へ申請し認定を受ける必要があります。
- 様式第1号:職業訓練計画認定申請書
- 様式第2号:職業訓練計画
- 様式第3号:職業訓練に関する確認書
- 確認書類:Off-JTの実施内容等を確認するための書類
- 確認書類:Off-JT担当講師の職業訓練指導員免許証(写)や経歴書等専門的な知識、技能を有する事が分かる書類
- 様式第5号:OJT評価シート
- 確認書類:OJT担当講師の経歴書
まとめ
さて今回は、労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)について詳しく解説してみました。
新型コロナウイルスの影響をはじめ、企業の経済状況の落ち込みによって離職を余儀なくされた労働者の再就職を支援し、早期雇入れを行った事業主に対して助成金を支給するこの制度。
再就職を望んでいる労働者を積極的に早期雇入れしている事業所は、ぜひ活用してみてくださいね。
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