何らかの理由から、離職を余儀なくされる労働者がいます。
そのような労働者に対して、民間職業紹介事業者に委託をして再就職を支援する制度である労働移動支援助成金(再就職支援コース)ですが、名前だけ聞いても具体的にどのような内容なのか分からないという人も多いでしょう。
そこで今回は、労働移動支援助成金(再就職支援コース)について詳しく解説していきたいと思います。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)とは?
それでは早速、労働移動支援助成金(再就職支援コース)とはどのようなものなのか?という部分から解説していきましょう。
そもそも、労働移動支援助成金は2つのコースがあり、今回ご紹介する再就職支援コースはそのうちの1つです。
事業規模の縮小等に伴って、離職を余儀なくされる労働者に対して、その再就職を実現するための支援を行うものです。
委託された民間の職業紹介事業者が、求職活動のための休暇付与、再就職に必要な訓練の実施のいずれかを実施し、再就職を実現させた事業主に対して助成を行うものです。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)は、離職を余儀なくされる労働者の早期再就職の支援を目的としています。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)の対象となる労働者
それでは次に、労働移動支援助成金(再就職支援コース)の対象となる労働者を解説していきます。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)の支給対象となる労働者は、下記の全てを満たしている必要があります。
- 本コースの支給申請を行う事業主の作成する「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者である事。
- 申請事業主に雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として、継続して雇用された期間が1年以上の人。
- 申請事業主の事業所へ復帰の見込みがない事。
- それぞれ以下の時点で、再就職先が未定である事、またはこれに準ずる状況である事。
- 「再就職支援」を実施する場合は、当該委託契約日時点
- 「休暇付与支援」を実施する場合は、休暇の初日の時点
- 「職業訓練実施支援」を実施する場合は、当該委託契約日時点
- 職業紹介事業者によって退職勧奨を受けたと受け止めている人でない事。
- 申請事業主によって、退職強要を受けたと受け止めている人でない事。
- 職業紹介事業者に対する委託により行われる、再就職支援を受けている人の場合は当該職業紹介事業者の行う再就職支援を受ける事について承諾している人である事。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)の対象となる事業
では次に、労働移動支援助成金(再就職支援コース)の対象となる事業主について解説していきたいと思います。
本コースを受給するためには、以下の要件に該当している事業主である事が必要です。
- 雇用保険適用事業所の事業主である事
- 支給のための審査に協力する事
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管している事
- 支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出について、管轄労働局から求められた場合に応じる事
- 管轄労働局等の実施調査を受け入れる事など
- 申請期間内に申請を行う事
- 人員削減を行う組織(事業部門・事業所・事業部・企業等のいずれの単位でも可)において、次にAまたはBに該当する事業主である事
- 生産量、販売量または売上高等の事業活動を示す指標が、対前年比10%以上減少している事(この対前年比10%以上減少は、再就職支援計画の認定または求職活動支援基本計画書が提出された日付を基準とし、その直前3ヵ月の平均でみる事を原則としていますが、直近1年間の平均でみる事や今後3年以内に対前年比10%以上減少の傾向となる見込みがあっても差し支えありません。)
- 直近の決算における経常利益が赤字である事、または今後3年以内に赤字になる見込みがある事
- 中小企業以外の事業主の場合、職業紹介事業者への委託による再就職支援の対象者が30人以上である事
労働移動支援助成金(再就職支援コース)を受給できない事業主とは?
では次に、労働移動支援助成金(再就職支援コース)を受給できない事業主について解説していきましょう。
- 不正受給をしてから5年以内に支給申請をした事業主、あるいは支給申請日後に支給決定日までの間に不正受給をした事業主。
- 申請事業主の役員等に、不正受給に関与した役員等がいる場合であって、不正受給をしてから5年経過していない事業主。
- 支給申請日の属する年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主。
- 支給申請日の前日から起算して1年前の日から支給申請日の前日までの間に、労働関係法令の違反により送検された事業主。
- 本コースの申請を行おうとする事業所において、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に規定する以下の業務を行っている事業主
- 接待飲食等営業
- 性風俗関連特殊営業
- 接客業務委託営業
- 事業主または事業主の役員等が、暴力団との関りのある場合。
- 事業主または事業主の役員等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れのある団体に属している場合。
- 不正受給が発覚した際に、都道府県労働局等が実施する事業主名等の公表について、あらかじめ同意していない事業主。
- 助成金の支給要領に従う事について、承諾していない事業主。
- 支給対象者の再就職の日から起算して1年前の日から当該再就職の日までの間において、支給対象者の再就職先との関係が、資本的・経済的・組織的関連性から見て密接な関係にある事業主。
- 再就職支援の実施について、委託契約を締結した職業紹介事業者から、支給対象者の離職日の前日から1年前の日以降、当該支給対象者に係る再就職援助計画の認定をハローワークに申請または求職活動支援基本計画書を労働局に提出した日までの間に、退職
- コンサルティングを受けた事業主。
- 退職コンサルティングを受けていた会社等と委託契約を締結した職業紹介事業者とが連携していた事を承知していた事業主。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)の申請までの流れ
では次に、労働移動支援助成金(再就職支援コース)の申請までの流れを解説していきましょう。
まず最初に、「再就職援助計画」の作成・認定または「求職活動支援基本計画書」の作成・提出を行います。
そして、職業紹介事業者の選定を行い、再就職支援を委託します。
その後、対象者の離職→対象者の再就職実現と進み、支給申請を行います。
審査の結果、支給が決定されると助成金が支給されます。
労働移動支援助成金(再就職支援コース)の支給額
それでは最後に、労働移動支援助成金(再就職支援コース)の支給額について解説していきたいと思います。
支給額は、以下の①~③の合計額になります。
- 中小企業事業主:(委託総額-訓練実施にかかる委託費用-グループワーク加算額)×2/3の額。中小企業事業主以外:(委託総額-訓練実施にかかる委託費用-グループワーク加算額)×1/3の額
- 訓練加算:訓練実施にかかる委託費用×2/3の額
- グループワーク加算:3回以上実施で1万円
まとめ
さて今回は、労働移動支援助成金(再就職支援コース)について詳しく解説してみました。
事業縮小などの影響で、離職を余儀なくされた労働者の再就職を支援する制度である再就職支援。
離職した労働者が、出来るだけ早く再就職できるための支援の体制作りとして、労働移動支援助成金(再就職支援コース)がいかに必要なものかという事がお分かり頂けたのではないでしょうか。
今回ご紹介した対象事業主・対象労働者に該当している場合は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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